個人経営で従業員を雇っている方が大切にすべきなのが意識改革です。
従業員は社長の言うことをただ聞くロボットではなく、それぞれが考えや意識を持つ人間です。
彼らの能力を最大限に引き出すには、意識改革により一体感や向上心をもたらす必要があります。
そこで今回は正しい意識改革の方法についてご紹介します。
そもそも意識改革とは?
意識改革とは、業務改善や経営再建などを目的に行われる人材教育の一種です。経営において社員の力はとても重要な役割を果たしますが、人材が持つポテンシャルをフルに引き出すのは簡単ではありません。高い能力を持っていても、意欲に欠けていれば成果は上がらず、せっかくの優秀な人材も宝の持ち腐れになってしまいます。
意識改革は、そんな社員の潜在能力を引き出すために行われます。
雇われているから働く、お金のために仕方なく仕事をしているという消極的な意識では、十分な成果は期待できません。取り組みを通じて会社の一員としての当事者意識をもたせることができれば、それまで他人ごととして捉えてきた会社経営を我が事としてとらえるようになり、熱意を持って積極的に仕事に取り組む態度が生まれます。
この意識改革は、社員や従業員など組織の構成員を対象に行われることが多いですが、社長や役員など経営者が対象になることもあります。経営者の意識が低いと、時代遅れのやり方に固執したり新たなチャレンジを渋ったりと、会社にとってマイナスの影響が表れます。
意識改革を通じて経営陣に成長への意識や危機意識を持たせることで、緊張感が生まれよりよい効率を目指した改革が進められます。
失敗する意識改革の特徴
新たなステップへ挑戦するための準備として意識改革に取り組む企業はたくさんありますが、しばしば意識改革は失敗します。成功すれば絶大な効果が期待できますが、失敗すれば効果が無いどころかかえって意欲を引き下げてしまうことがあるため、諸刃の剣とも言えます。
失敗する意識改革に共通して見られる特徴が、一方的な思想の押し付けです。
ワンマンタイプの経営者に多いのですが、自分の思想や考え方を全社員が身に付ければ、経営効率が上がると思い込んでいる経営者は少なくありません。このようなタイプは意識改革というものを自分の思想を教育するための手段と誤解し、ただただ個人的な考えを社員に対して押し付けようとします。意義もメリットもわからないのに一方的な態度にでられれば反発するのは当たり前で、意識の向上どころか会社からの離反や帰属心の低下という事態を招いてしまいます。
また、性急に成果を求めるのも失敗例の特徴です。
意識改革は、成果が出るまでに長い時間がかかる取り組みです。社員ひとりひとりの心の持ちようを変えるのですから、性急な成果を求めれば無理が出るのも当然で、やり方は正しくても結果を急ぐばかりに失敗してしまうケースは多く見られます。
効果が出るまでには少なくとも数カ月、長ければ年単位の時間が必要です。数週間で具体的な結果を求めるようでは、失敗するのも当たり前です。
意識改革を成功させるには
意識改革を実行するには、社内全員が自らの行動や思考を変える必要があります。意識改革を成功させるには、
1)現状把握して問題点を明確にして本来あるべき姿を考える
2)本来あるべき姿に変える理由を従業員全員に理解してもらう
3)従業員が行動しやすくする為に「何をすべきかを定量的かつ明確化」
4)経営トップや部門長が率先して行う
の4点が必要となります。
特に1),2)のフェーズが重要で、何が問題で本来あるべき姿はこうあるべきかを明確に説明できて、かつ経営者から部門長をはじめとする管理職、管理職から一般従業員まで正しく伝えて、意識を浸透させる事が重要です。
又、精神論で押し付けない事も重要です。
意識改革の成功事例として日本航空を取り上げます。
会社更生法前の日本航空は採算に対する意識が欠けていて、縦割り組織の影響で風通しが悪くなっていました。2010年の会社更生法後の経営再建で、部門別採算制度と共に意識改革が取り入れられました。最初に経営に携わる管理職を対象としたリーダー教育で意識改革の必要性を伝え、リーダー自らが模範となる姿へと変えていきました。次に世界各拠点のリーダークラスに対象を広げ、最終的には従業員全員に意識改革の必要性を説明しました。
この様に、経営者から幹部・部門・管理職・従業員へと考え方や価値観の共有を浸透させていきました。その結果、従業員が自ら経営に対する行動を行うようになり、さらに他部門との横のつながりが改善して、組織としての風通しが良くなりました。
まとめ
以上の記事を読んで、意識改革は難しそうだ、という感想を抱いた方は少なくないでしょう。
しかし、成功すればかなりの成果が得られます。
きちんと手順を踏んで、従業員が快く意識改革していけるように留意してみましょう。
コメント