業務改善するためにまず必要なのが「業務棚卸」です。
今回は業務棚卸とは何なのか、またその方法について説明していきます。
業務整理の方法|業務棚卸
業務棚卸とは、業務改善を目的に行われる仕事整理方法の一種です。
在庫管理のために行われる棚卸しになぞらえて名付けられたこの取り組みは、個別作業の洗い出しから全体の可視化まであらゆる分野での効率改善にまとめて取り組むのが大きな特徴です。
具体的な手順としては「目的設定」「実態調査」「仕分け」「改善計画立案及び実行」という流れで作業を進めます。
最初のステップでは、「なぜ業務棚卸を行うのか」を具体的な目的として設定します。作業負担減少、経費節減、時間短縮、相互協力促進などいろいろな目的が考えられるので、だれでもわかる明示的な形で設定してください。複数の目的を設定することもできますが、多くなるほど難易度は高まります。
目的が決まったら、実態調査を行います。今現在どのように仕事が進められているのか、作業にはどのようなものがあるのかを現場からのヒアリングや資料の精査により明らかにします。この段階で全体像を明らかにしておかないと、改善効果は半減してしまうので、もれなくきちんと調べることが重要です。
業務の実態が明らかになったら、個別の手順や作業について必要性を調べ効率や重要性などで仕分けを行います。共通する手順を持つ作業を統合する、社内では効率があがらない作業は外注するなどして改善方法を検討します。
全ての仕分けが終わったら、改善計画を立案します。立案計画だけでは絵に描いた餅なので、合意形成を経て実行して初めて業務棚卸が完成します。
業務棚卸で必ずしておくこと
業務棚卸では、必ずやらなければならないことが3つあります。
絶対にやらなければいけないのが業務全体の調査です。現状でどのような状況になっているのかを把握しなければ、業務棚卸は始まりません。全体像を明らかにすることが作業のスタートであり、調査もれがあれば最適化は不可能です。まずは仕事の流れを知るためにフローを明らかにし、その次に各セクションの作業手順や進め方を調査してください。
手引書やマニュアルだけでなく報告書や分析資料も調査し、実際にどのように業務が進められているのかを確認します。
またルールの共通化も、必ずやっておかなくてはいけない作業です。組織が大きくなると各セクションが独自のルールや決まりで仕事を運用する事がありますが、全体を統一するルールがなければ効率化は実現しません。担当者に裁量権を含む権限を集中し、ルールを共通化しておきましょう。
そして用語や単語の統一も重要な作業です。
同じ物を指す言葉が複数使用されていると、円滑な流れの妨げになります。伝達ミスや誤認の原因にもなるので、社員間で使用する用語や単語は統一してください。英語と日本語、型番など呼び方が混在している場合はどれかに統一し、以降はその呼び方を使用するよう徹底してください。
重複している作業をチェックするときも、用語が統一されていないと見落としが発生してしまいます。
業務棚卸した後は業務を再構築する
業務棚卸完了後は、業務の再構築作業を行います。
業務棚卸は現状分析と課題把握、解決策模索のための手段に過ぎません。それだけでは改善効果は表れず、単に目標を設定しただけです。計画を立てただけでは旅行とは言えないように、業務棚卸だけでは改善のため他の取り組みにはなりません。
業務棚卸で全体を把握した後にバラバラに分解されたフローは、再構築作業により新たな価値が与えられます。すべてのパーツをばらしてオーバーホールを行うように、個別のタスクを構築し直して最適な状況にすることで企業がめざす目標に大きく近づきます
ここで重要になるのが、人事異動を伴う組織の見直しです。
ワークフローを組み直す際には、組織構成の大幅な変化は避けられません。企業規模が大きくなるほど変化を嫌う抵抗勢力は増え、組織改善への反発も大きくなります。人事異動により現状より待遇が悪化するとなれば、激しい抵抗が予想されるため、担当者には強い権限を与えて強力に見直しを推し進めなくてはいけません。
再構築に成功すれば、事業全体の大幅な効率改善が実現します。
かんたんな仕事ではありませんが、時間がかかりすぎると見直し効果が失われてしまうので、スピード感を重視した取り組みが求められます。
まとめ
会社や事業が始まってから時間がたつにつれ、必要のない業務や逆に取り入れるべきものが出てくるのは当然のことです。
適宜業務棚卸を行い、いつも最適な業務フローが作れるようにしましょう。
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