開業届はそこまで身近な存在ではないですよね。
どんな状況になったら開業届を出さないといけなくて、いくら稼いだら確定申告が必要になるのかはいまいちわからない人の方が多いのではないでしょうか。
世の中の動きも副業を推進するようになってきました。
開業届と確定申告について必要な知識を身につけておきましょう。
開業届を出すメリット|青色申告で最大65万円の節税
青色申告とは、帳簿の付け方によって所得から10万円もしくは65万円を差し引くことができる制度です。
10万円控除は簡単な帳簿付けですが、節税効果が少ないので65万円控除を説明します。
65万円控除は、正規の帳簿(仕訳)のルールにそった形の7種類程度の帳簿をつけ、決算書を作成します。65万円控除のメリットとして、
①所得から65万円控除できる
②家族への給与が全額経費となる(「青色専従者給与の届出書」を提出すれば、生計を一とする家族従業員への給与が経費とすることが出来ます。)
③30万円未満の資産を経費に計上できる(青色申告の場合は、30万円未満の固定資産は、減価償却ではなく全額一括で経費計上可能です。)
④売掛金の一部を経費に計上でる(未回収の代金や損失を、貸倒引当金として経費に計上できます。)
⑤赤字が出ても繰り越して相殺できる(赤字が出ても翌年から3年間にわたって繰り越すことが出来ます。所得から赤字分を差し引けます。)
上記以外にも、棚卸の計算方法が選択できたり、店舗兼自宅の家賃や光熱費を経費計上できたりするメリットがあります。
65万控除をすることで、かなりの節税効果があります。正式な帳簿付けは難しそうに思いますが、専用の会計ソフトを使えば驚くほど簡単です。
専門知識がなくとも、今のソフトは親切な説明や手厚いサポートがあります。ぜひ、65万円控除に挑戦しましょう。
開業届を出すデメリット|事業に失敗しても失業保険がない
失業保険とは、労働者が失業した場合に引き続き就労する意欲を示しているケースついて、雇用保険法に基づいて一定期間、定められた金額を受給できる制度です。
また、一定の要件を満たした状態で、次の就職先が見つかれば再就職手当を受給することもできます。
しかし、個人事業主の場合は、事業に失敗して無職となった場合でも、失業保険における基本手当や再就職手当を受給することはできません。個人事業主は労働者ではないため、失業保険制度の対象とはなっていないためです。この点が、開業届を出した場合のデメリットとして挙げられます。
さらに、開業届を出したあと、事業を円滑に進めるために従業員を1人雇用した場合には、個人事業主という立場であっても雇用保険に加入しなければなりません。
雇用した従業員の労働条件が、1週間あたりの労働時間が20時間以上であることと、31日以上雇用し続けることの両方を満たしている場合は加入しなければなりません。そして雇用保険に加入したあとは、雇用保険料を納める必要があります。雇用保険料率は2018年度で、0.9%と定められており、そのうち0.6%分が雇い主側である個人事業主の負担分となります。
このように、開業届を出すことのデメリットとしては、自分自身が失業保険の対象外となるだけでなく、条件を満たす従業員を雇用した場合には、雇用保険料を納める必要があることが挙げられます。
開業届を出してなくても確定申告が必要なことも
開業届出を出さなくても確定申告が必要な場合として
①給与の収入が2,000万円を超えている
②個人事業を専業で行っている場合に、所得(収入から必要経費を引いた額)が38万円を超えている
②給与所得以外の所得(個人事業を副業として行っている場合)の合計額が20万円を超えている(退職所得は除く)
③給与を2か所以上から受けている場合
等があります。
副業として続けていくのなら、②の20万を越えなければ開業届の提出は見送っても大丈夫です。
ただ、副業を後々本業にしていく考えがある場合は、売り上げが小さくても開業届を出して確定申告をしておく方が安心です。
なぜなら、脱税を疑われた際にそれを否定する材料になるからです。
きちんと帳簿を付けているなら大丈夫ですが、「副業」の意識でやっているとおろそかになりがちなのも否めません。
厳しく収支の計算をすることで個人事業主であることや設けることの意識付けができるので、売り上げの小さいうちから開業届を出しておくのがおすすめです。
まとめ
開業届は出しても出さなくても良く、個人事業が専業の場合は所得38万円、副業の場合は所得20万円以上で確定申告が必要になるということがわかりましたね。
ただ、所得が大きくなった場合に開業届を出しておけば青色申告で節税できることを考えると、開業届は出しておいた方が安心でしょう。
帳簿などに手間がかかりますが、大事なお金のことなのでその手間を惜しまないようにしましょう。
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